Tattoo

〜疵〜

 

婚姻届けの代わりに墨を入れた

あの日、君はどんな気持ちでいたのだろう

いつも君がいた僕の左

この腕は私の物だと

無邪気にしがみついていた君

 

その左腕を君に差し出した

あの時の僕には

それ以外に方法がなかった

君の大好きな僕の左腕には

君のデザインしたTattooがある

 

筋彫りが入り

塗りつぶされ

完成までの半年

君はどんな気持ちでいたのだろう

哀しい未来の予感はあった

君の笑顔が

昔とは違っていたことにも

気がついていた

 

たとえ君が消え去ろうとも

あの時の僕は

自分の気持ちを信じるほか無かった

 

後悔はない

このTattooの存在意義は

君を失った後にある

だから君は

自分を責めなくていい

 

あの日、君が別れを決めていたことを

僕は理解した上で

君のTattooを

この身に纏ったのだから