彼はわりとモテる方だったんだ。
いわゆる“モテるタイプ!”ってわけじゃないんだけど、
“何故かモテる”って感じだった。
そんなもんだから当然彼女の方は大変で、
けっこう泣かされたり、つらい思いもさせられたりしてたんだよ。
それでもこの彼女ってのがいい娘でね、わりとうまくいってたんだよ。
もちろん彼にもそれなりに良いところもあったしね。
でさ、俺なんかから見るとさ、すごいんだよ執着心が。
ちょっと普通じゃないんだよね。
普通さぁ「こいつは俺の女だ!」とかって程度だと思うけど、
彼の場合はちょっと違ってて、なんか、
その女の中に自分の世界創っちゃってて
そのなかで生きてるぅっ!って感じ。
今思うと“依存症”だったのかもしれないね。(笑)
でね、ちょっとふられそうになると、もう、泣言いいだしてさ、
付き合ってると面白いんだよ。子供みたいに妙に熱い奴でさ。
普通なら、なんでも出来ちゃうクールな奴でさ、
とくに、他人の恋愛に口出させたら、今まで自殺しようとしていた奴が
明日の夕飯の心配しちゃうくらいすげぇのに、
自分のことになると全然なの。全然ダメ(笑)
だから彼みたいのが、もう一人いればいいんだろうけど、
普段なぐさめられてる俺たちがなぐさめようとしてもさ、
どうしていいのか分かんないし・・・
彼はそんな時、妙に冷静だったり、突然黙り込んじゃったり、
その内おかしくなっちゃうんだよ。
なんか憑かれたみたいになってさ。(笑)
なんか、ひとりでわけの解らない事ぶつぶつ言い出していなくなっちゃうの。
そう、どっか行っちゃうんだよ。ある日突然。
そしたらもう、誰も連絡取れなくなっちゃう。