凍える冬(前編)

〜あんなに寒かった冬のハーフコート〜

 

あんなに寒かった冬 君の部屋にエスケープした

青いリボンで開いたドア 君は静かに眠っていた

外はあんなに寒いのに 凍える冬はまだ来ていない

 

黒いレザーのハーフコートを

青いリボンに抱かれた鍵が 静かにそっと見送っていた

 

あんなに寒かった冬の夜空に

ふかした煙草は星空の味がして

ただ何となく、ぼんやりしていた

 

赤いリボンに抱かれた鍵が 泣きながらついて来た事を

襟を立てたハーフコートは 何も教えてくれなかった

 

ポケットの中の

赤いリボンに気付いた時には

凍える冬がハーフコートを包んでいた

 

今更のように言うのなら

黒いレザーのハーフコートは

赤いリボンを愛してた

 

あれから4年

あんなに寒かった冬のハーフコートは

今でも君の香りが消えない