記憶に棲まう哀しみ

 

月夜の晩に夜叉がゆく

赤い月夜に夜叉がゆく

照らし出されし夜叉の姿は

哀しいまでに美しく

照らし出されし夜叉の頬には

妖しく光る涙ひとすじ

 

おまえは何故?

生きた友を棄てるとゆうのか

おまえは何故?

深い哀しみを友と称え

記憶の中に棲まうとゆうのか

何故おまえは

夜叉で在ろうとするのだろうか?

 

あぁ… 今宵もまた

友が迎えに来たようだ

そしておまえは夜叉になる

そして今夜も

夜叉となる