いつかの夜

 

女にふられた

微笑む俺を叱る者がいた

微笑む俺に安心する者がいた

微笑む俺に涙する者がいた

それが17の頃の記憶だ

幾年月を経て今に至るが

今も何も変わってはいない

 

泣けない女は優しくなけりゃいけない

泣けない男は強くなけりゃならない

男の優しさはあきらめでしかなく

女の強さもあきらめでしかない

 

悲しみの夜はまだ明けていない

このまま俺は

悲しみの海を漂い続けたい

なにもかも消え去る夜明けより

悲しみの海の藻屑になりたい

ふたりを引き裂く朝日より

明けない夜を祈る

 

いつか止まない雨は無い

いつか明けない夜は無い

 

そんな言葉をありがたがる奴は

強さも

優しさも

悲しみも

なにも持ち合わせてはいない