赤い涙

 

人を愛するがゆえに神からは愛されず

人を守るが為に神に戦いを挑んだ

堕天使ルシフェル

 

人を加護する者を神と呼び

神に仇なすものを悪魔と呼ぶなら

天使は悪魔でもあり 悪魔は神ともなりうる

 

人の心に神は棲む

 

神にも悪魔にも生りうる存在としての人は

その意思により悪魔となる

 

強大な力により全ての者の上に君臨する

“神”と呼ばれし悪魔となるか

己が手を血と涙に染め

ただ独り 神に仇なす悪魔となるか

どちらを選ぼうとも間違いではない

 

それが本来の“人”の姿なら仕方のないことだ

 

人の世界も神話の世界も

やってることは変わらない

神の名において殺戮を繰り返す宗教家

蝶の羽と何ら変わりなく 人の腕をもぐ子供たち

金の為に子を産み そして殺す乙女たち

条件付で「救ってやる!」と叫ぶ神

 

“金を持って来い!”

“肉体をさしだせ!”

“我を愛せ!”

 

それが駄目なら、こう叫ぶ

 

“天罰が下されよう!”

 

天とは誰だい?

神を名乗るあんたじゃないのか?

 

・・・なんだぁ

自分に従わぬ者を脅しているだけじゃないか

 

人も神も変わらない

しかし悪魔も変わらない

ただ一つだけ違うのは

己が手を汚すかどうかだ